志方メダル

志方益三とポーラログラフ

志方益三は、1920年(大正9年)東京帝国大学農学部卒業後、1922年(大正11年)に文部省在外研究員としてコロイド化学および電気化学を学ぶためドイツへ留学したが、コロイド化学に精密な測定法が少なく満足できなかったため、別の留学先を求めてヨーロッパ各地の大学を訪ね歩いた。1923年(大正12年)、チェコスロバキアのプラハにて滴下水銀電極の研究を始めていたJaroslav Heyrovskyと出会い、界面電気化学の基礎研究に強く興味を持った。同年6月プラハに移り、印加電圧と電解電流との関係を調べる研究に着手した。
当時、電流電圧曲線を記録する実験は手動で抵抗を切り替えていたため時間がかかり、1日にせいぜい2回しか測定ができなかった。そこでこれを自動化することが望まれていた。志方は抵抗線を巻いたドラムを回転し、接点を滑らせることによって自動的に印加電圧を変化させた。また電解電流は、検流計に取り付けた鏡によって光源からの光を反射し、回転ドラムと連動した感光紙に当てることにより記録した。このようにして留学期間内に電流電圧曲線の自動記録装置「ポーラログラフ」を完成させた。これは実験の独立変数に対して従属変数を自動的にプロットする世界初の計測機器であった。
1924年(大正13年)10月に帰国後、京都帝国大学農学部に助教授として赴任した志方は、翌年2月に助手として赴任した舘勇と協力して、プラハから持ち帰ったポーラログラフを稼働させた。電流電圧曲線の測定に初めて成功したのは1925年(大正14年)6月18日であった。以来、この日を「ポーラログラフ記念日」として、様々な行事が行なわれている。(詳細は会誌Vol. 61, No. 2を参照)

志方メダルについて

当学会では志方益三先生の功績を記念し、その名を冠したメダルを授与しています。志方メダルは、2つのカテゴリーに分類され、学会規程によって
1.電気化学測定法、電気化学反応、電気化学分析法、その他の電気化学関連領域において顕著な業績を上げ、世界的に高く評価されている国内外の研究者に「志方国際メダル」を、
2.若手会員(受賞年の4月1日の年齢が45歳まで)で、将来の発展が期待できる顕著な研究業績を収めた者に、研究奨励賞として「志方メダル」を
授与することになっています。

志方国際メダル・志方メダル授賞規程

候補者推薦の締切日は、毎年「ポーラログラフ記念日」6月18日です。


志方国際メダル受賞者

  • 2008 Zdenek Samec (J. Heyrovsky Institute of Physical Chemistry)
  • 2008 八尾俊男(大阪府立大学)
  • 2011 内山俊一(埼玉工業大学)
  • 2011 谷口功(熊本大学)
  • 2012 水谷文雄(兵庫県立大学)
  • 2013 Vladimir Marecek (The Academy of Sciences of the Czech Republic)
  • 2015 樋上照男(信州大学)
  • 2016 中嶋直敏(九州大学)
  • 2016 北條正司(高知大学)
  • 2017 芳賀正明(中央大学)
  • 2018 尾関徹(兵庫教育大学)


志方メダル受賞者

  • 2004 片野肇(福井県立大学)
  • 2004 白井理(京都大学)
  • 2008 冨永昌人(熊本大学)
  • 2011 巽広輔(信州大学)
  • 2013 北辻章浩(日本原子力研究開発機構)
  • 2014 上田忠治(高知大学)
  • 2014 吉田裕美(京都工芸繊維大学)
  • 2015 椎木弘(大阪府立大学)
  • 2015 安川智之(兵庫県立大学)
  • 2018 井上(安田)久美(東北大学)
  • 2018 山崎眞一(産業技術総合研究所)


60周年記念特別賞受賞者

  • 2014 千田貢
  • 2014 池田篤治
  • 2014 木原壯林
  • 2014 垣内隆
  • 2014 楠文代


技術開発特別賞受賞者

  • 2018 唐津優勝(扶桑製作所)